どうもこんにちは、99%生木専門の木工所、スーパー生木ラボの鈴木です。
栗の生木を割ってつくるお盆『我谷盆(わがたぼん)』を習いに、石川県まで行ってきました。
このお盆、幻のお盆とも呼ばれていたこともあるユニークなお盆でして、日本有数の名人の方に直接ご指導いただく機会をいただけたので、その記録と記憶を残しておきたいと思います。
感情がなまなましいからこそ書ける、思ったことをそのまま書いていくので口調はフランクになります、ご了承ください。
目次
年間約500枚ほどの我谷盆をつくる名人からのマンツーマン指導
さて。今回、生木ラボのウッドターニングの師匠である、須田二郎さんにご紹介いただきまして、お忙しいところ無理を聞いていただき、2日間みっちりと我谷盆作りを学ばせていただくという運びになりました。
正直なところ、マジで久々の修行。という感じ。
普段の仕事ではあまり使わないノミをフルに扱うので、思ったよりハードでした。
インスタで拝見していると「優しいおじいちゃん」って印象だった森口さん。
実際お会いすると中々のスパルタ指導。何度も怒られました。笑
何で怒られたか?については直接お会いした方にはいろいろお話できるかと思います。笑
そもそも我谷盆って?→屋根の板づくりから生まれた
我谷村はダムに沈んでしまった集落で現在は別の場所にあります。
当時の我谷村は山深い場所で、主な仕事は炭焼きや板屋根づくりでした。
屋根板の材料を利用して、我谷盆づくりが冬の仕事として始まったといわれてます。
山中温泉の「芭蕉の館」という資料館には、当時の集落の民家を上空から写した写真がありました。
確かに板屋根の家が多かったですね。
で、時代とともに瓦屋根やトタン屋根が増えたことで板屋根職人がいなくなり、我谷盆づくりにたずさわる方もいなくなったという感じです。
「我谷盆は我谷村のものやと思ってるんよ」
森口さんいわく、我谷盆と呼んでいいのは「栗の木」を「割った板」から彫ったものだけということ。
製材して板や栗の木以外でやるのは違うよな、という感じでした。
ノミの彫跡が特徴である我谷盆。個人的には見た目がシンプルに可愛いなと思ってます。
いろんな樹種で、こういう彫り方でやってもいいけど、できた作品は角盆ですよね。我谷盆ではないよねってことになります。
経年変化が息を呑む美しさ
みてくださいこの写真を。
右 仕上げたばかり
真ん中 10年後 見本として保管
左 10年後 生活で使ってる
すべて仕上げは「栗シブ」ですが、使い込まれたものは艶が出て美しいです。
やっぱりお盆やうつわなどの日用品は使ってなんぼですね。
まとめ:直接習うって、贅沢な体験だ。
グリーンウッドワークの本を買って読めば我谷盆も作り方はわかります。
なんと言うべきか、対面の情報量がすさまじかったなと。
より深い情報、知恵を先人に学ぶということ、そしてその環境を惜しげもなく提供してくれた森口さんには感謝しかありません。
本を読んでつくるだけじゃ絶対たどり着かなかっただろうな、というお話もいくつも聞くことができました。
今後、生木ラボとしてもリリースできるように、まずはコツコツと復習をして我谷盆のおもしろさ、美しさ、歴史、楽しさなども伝えていけるようになりたいです。